先日久しぶりにNewseumを訪れた。ここは夫と子どもたちにははじめてだったけど私は三回目。DCには素晴らしいミュージアムがたくさんあるけど、私はここが大好き。ニュースのミュージアムだからニュージアム。
この日は子ども向けのクリスマスイベントもやっていた。
イベントは、アメリカン大学の先生(左端)が、8才の女の子が新聞社へ出した100年以上も前の一通の手紙を紹介するところからはじまる。女の子が新聞記者に聞きたかったことは、
「サンタクロースは本当にいるのですか?」
いわゆる「バージニアの手紙」として広く知られている手紙。8才の女の子が、まわりの友達がサンタなんていないって言うと父親にこぼす。父親は、彼女にそれなら新聞記者に聞いてみるといいと助言する。そして彼女は実際に手紙を送った。長い沈黙のあと、あきらめかけたときに新聞の社説という形で返事がきたのだった。それが実に感動的な内容だったので世界中で一躍注目をあびた手紙。
この日は、まずステージ上でソファーに座ってる女の子がバージニアの手紙の文を読む。それに答える形で少女のとなりの女性が優しく返事を読み上げる。女の子の手前の女性は手話通訳の方。
内容のすばらしさに加えて、「あたたかい文章だな」としみじみ感じた。バージニアをはじめとして、世の中のサンタを信じる小さな子どもたちへの愛情が詰まった文章のように思える。内容は決して子ども向けとは言えないし8才の子どもには難しい言葉もあるだろう。それでも、子どもたちはきっとしっかりと彼が伝えようとしていることを汲み取るはず。子どもだけでなく大人に対しても忘れかけた大切な何かを思い出させてくれるのは、掲載後何年たっても再掲の依頼が絶えなかった所以の一つかもしれない。(レトリックとしても、パラグラフの中でところどころ ”Virginia” と名前で呼びかけることで、まるでそこにいる人物に優しく語りかけているような印象を持たせているのもうまい。)
女性が読み終えたところで、サンタが鈴をならしながら登場。
最後にモデレーターである教授が子どもたちにこう呼びかける。
「何かわからないことや疑問に思うことがあったら、君たちもぜひ新聞社に手紙を送ってみるんだ。きっと答えてくれるはずだよ。」
さすがニュージアム。
そのあとはサンタと一人一人の子どもで写真撮影。サンタはそれぞれの子どもを膝にのせて、何やら耳元でささやいている。せっかくなのでうちの子どもも参加。終わったあとに、サンタさん何て言ってた?って聞いたら「欲しいものを紙に書いて、テーブルの上に置いておいてね、って言ってた」だって。
そして、家に帰ってからふと長女が私にこんなことを聞いてきた。
「ママ、サンタさんは何人いるの?今日会ったサンタさんがおうちにプレゼントを持ってきてくれるの?」
確かに、この時期になると必ずいたるところで登場するサンタさんを見ている子どもたち。これは自然な流れの疑問だわ。とりあえず「たくさんいるんじゃない?」って答えたけど、我ながらセンスのない答えだなとあとで思ったよ。
このときの新聞記者なら何て答えるかな。
(まぁ、残念ながら日本の新聞社にはもう今後子どもたちからこんな質問の手紙は届かないんじゃないかと思うけど。にしても色んな意味で茂木さんの歌はすごいインパクトだったよ。)
このときのサンタにもらったプレゼントのボール。