ほろほろ日記

こぼれ落ちる思い出を繋ぎ止めるメモ

やさしさとおもいやり

今日は長女の学校へ読み聞かせに行った。

 

選んだ本は、「やさしさとおもいやり」。

 

 

去年、崩壊気味だった長女のクラスにちょうどいいかなと。

学校側も事態を重く見たのか、今年の重点目標に「思いやりのある子を育てる」というのをあげているくらいだ。

 

ただ、この本を眺めていた長女が

「先生たちもね、おもいやり、大事ってよく言ってるよ」

というので、

 

「おもいやり」ってなに?

って聞いてみた。

 

しばらく考え込んだ後、

「わかるんだけど、言うの難しい」

との返答。

 

 

 

真面目な私は今日の読み聞かせのために、「いい読み聞かせ」のヒントとやらをネットで調べた。すると、英語の記事と日本語の記事で、「いい読み聞かせ」というものにだいぶズレがあることに気がついた。

 

まず日本。

「声の抑揚」だとか「アイコンタクト」というものはある程度どこも共通にあるとして、日本らしいなぁ〜、と思ったのは

「絵本の持ち方とめくり方」

に言及しているものが非常に多かったこと。

 

図書館が発信してるものも多かったんだけど、例えばこちら。

読み聞かせのポイント - 野辺地町立図書館

こちらによると、読み聞かせのあとは

「むやみに感想を聞かない」方が良いそうだ。

 

へ〜、・・・なんで?

 

更には「子ども達が絵本に集中できるように、アクセサリーや目立つ服装をしない。」とのこと。

 

読み手の服装にまで注文つけるところはこれもまた日本らしいというかなんというか。

 

さらに、別のサイトではいい絵本を見分ける基準として

「出版から25年経ったもの」なんて書いてあるものもあった。

確かに、昔からのベストセラーにはいい本が多いけれど、新しい本には今の時代にあったテーマを含んでいるものも多いし、昔の「道徳的」な教えが今の時代のそれにあっているとは限らない。

 

 

一方の英語の記事の方。

ここでは、読み聞かせそのものの「目的」とその「効果的な読み方」をきっちり分けて考えているようだった。

なので、読み聞かせの目的や効果として

「言語能力を高める」

「聴く力を育てる」

「視野を広げる」

「ふさわしい物語は、人生の様々な場面において子供たちが直面するであろう困難において助けとなる」

等々が書いてある・・・

 

一方の「読み聞かせへの適切なアプローチ」の中では

声の抑揚だったりスピード、話の長さなどについてのアドバイスが出てくる。

それでも日本と逆だったのが、「子供たちを巻き込む、質問をする、お話が何を伝えようとしていたのかを考えさせる」というスタンスが基本なとこ。

 「子供たち、じっと静かにお話を聞いてくれました」と嬉しそうに言う読み手は日本にはたくさんいるけれど、文化差なのかな。これは。

 

でも私個人的にはアメリカの司書さんたちの読み聞かせはすごく好きだった。

私が子供と通っていた図書館では4人くらいの司書さんがそれぞれ読み聞かせをしていたのだけど、一人一人が自分の得意なものを使って、全く違う感じの読み聞かせをしていた。ある人はギターを使って、ある人はパペットとCD、それぞれ人によってかなり色があり、見ていて楽しかった。

 

日本はどちらかというと司書さんたちの読み方って、かなり似てる気がするのは私だけだろうか。

「読み聞かせ講習」なるものも存在するようで、皆で一斉に発声練習したり手遊びの練習したりしてるの動画で見て、ちょっと引いた。

基本、日本の読み聞かせって、読み手は上品に椅子に座って、まんが日本昔話の市原悦子さんのような話し方をするイメージだけど、アメリカはもっと自由で、動いてたなぁとか。

 

 

そんなこんなで、私なりに今日の読み聞かせの構成を考え、読む練習をし、持ち時間の15分をどう使うかを考えていた。

 

五分前にクラスに入り、担任の到着を待つ。

ギリギリに入ってきた先生は子供たちに「姿勢を正させ」る。

 

 

「はい、〜さん、机の上のもの片付けて!」

「背筋を伸ばす!」

「〜さん、その手に巻いてるタオルは何?痛いの?痛くないんだったら片付けて。」

 

8時20分から開始されるはずの私の読み聞かせの時間が1分、1分と過ぎていく。

 

タオル巻いててもなんでもいいから、早く始めさせてほしい・・・

 

 

「はい、じゃぁ、〜さんのお母さんに挨拶しましょう。よろしくお願いします!」

 

子供たち:「よろしくお願いします!」

 

この時点で3分経過。

 

 

「やさしさとおもいやり」

 

この本に出てきたのは、恐竜たちと二匹の恐竜を温かく見守る木の話。

最初はケンカしてたけど、嵐が来たり、雷に打たれたり、敵に襲われたり、数々の困難に一緒に立ち向かう中で育まれた友情。お互いを思いやる気持ち。

大人が読んでも、ほろっときちゃう内容。

この絵本の中での恐竜たちと赤い実の木の間で交わされた互いへの「思いやり」が、具体的なストーリーとして子供たちに少しでも響いてくれるといいなと思った。

そして読み終わった後は、余った時間で絵本のモチーフと現実世界での体験を結び付けられるような話がしたいと思ってた。最初は仲悪かった友達と仲良くなるきっかけになった体験だとか、自分が誰かにしてもらったことですごく嬉しかったことだとか、そういうことを例をあげながら子供たちに話を聞きたかった。

 

が、

 

3分遅れて始まったけど、3分遅れて終了できそうな雰囲気ではなかった。

 

8時35分終了だけど、8時33分くらいの時点ですでに腕時計に目をやる担任。

 

てか、そもそも私が読み聞かせをしている間、ずっと宿題の添削をしていた担任。

 

「あんたも聞け!参加しろ!」

 

って心から思った。

おそらく普段から本をあまり読まないんだろう。

 

こういうPTA活動って、活動のための活動になってるとこがある。こんな場面でもそれを痛感。「読めばいい」ってもんじゃないと思うよ。もっと大事にしようよ、こういうの。

 

 

 読み始める前、表紙を見せながら子供たちに

「この木の赤い実、甘いかな、酸っぱいのかな」

って聞いたら

「甘いと思う!」

という声に混じって、

 

「梅干しみたい」

 

って言ってくれた子がいた。

確かに、そう言われたら梅干し以外の何物にも見えなくなった。

 

そういう、常識にとらわれない子供たちの自由な発想が私は大好きです。