ほろほろ日記

こぼれ落ちる思い出を繋ぎ止めるメモ

運動会つれづれ

今日は次女の幼稚園の運動会だった。

 

秋は何かと学校のイベントが多い。

非常勤の仕事を細々と始めてから、学校イベントと仕事がかぶらないことだけを願ってきた。

今月の仕事のシフトをもらった段階で土曜の運動会のことを告げてお休みをもらい、さすがに土曜が雨でも日曜は晴れるだろうから月曜は大丈夫だろうと思って仕事入れてたら、現実は厳しかった。

わずかな望みにかけ、先週の金曜は30分おきに天気予報を睨んでた。いくら眺めたって1日に更新される回数は決まっているのに、そうせずにはいられなかった。

金曜昼頃になって園から「今のところは明日(土)決行予定です」とのメールに胸をなでおろし、ちょっとくらい降ってもやるのかな、と都合のいいように思いこみ、前夜せっせと仕込みをして朝の5時から弁当作り。あとは詰めるだけ。

その直後、園からの「今日の運動会は中止になりました。月曜開催を予定しています。」との衝撃のメール。

やるせない。

外は、今にも降り出しそうなまま持ちこたえていた空から雨が本格的に降り始めた。

 

そして、本日。

素晴らしい曇り空。

寒い。

 

運動会、決行。

 

マイクの音量が小さすぎて園長先生はじめ皆さんが何を言っているか全くわからなかった点を除いて、とても素晴らしい運動会だったと思う。

 

ただ、運動会というのは園によって本当に違うんだなというのをしみじみ思った。

 

前にいた神戸の園はかなりきっちりしていたので、園児たちは基本運動会が終わるまで自分たちの演技以外の時は園児席に座って見る。運動会自体も午前中のみだった。

 

今回は、開始時間は8時45分とプログラムに書いてあったけど、なぜか終了時間は書いていない。ある程度ずれ込んでも大丈夫なようにとの大胆な作戦だ(ちなみに今日は結局午後3時前に終わった。2時くらいには終わるだろうと踏んでいたが、この時間が早かったのか遅かったのかすらわからないという巧妙なやり方だ)。

 

加えて、運動会のお手伝いをかって出てくれた人が優先的に席取りをできるという、うまい心理戦。

 

園児席なるものもなく、大きなブルーシートを敷いた一面があり、そこで出番の近い園児たちが各々自由に喧嘩したり馬乗りになったり取っ組みあったり、かけっこしたりおしゃべりしながら順番を待つというちょっとしたカオス空間。

もっとも驚いたのは、(昼の休憩時間が30分しかないということを知っての行動かそうでないかは不明だが)11時を過ぎたあたりから勝手に各々弁当を広げて食べ始める家族が続出したことだ。

子供たちも普通に食べてた。

「これは、、、ないよね」と旦那と小声で話す。しかし、

 

common sense is not so common. 

常識はそれほど常識ではない

 

こんなところでも、かのボルテールの言葉を思い出す。

そんなもんかもしれない。

 

 

 競技についても、この園はなかなか独自路線を走っていた。

普通、父親か母親のどちらかと子供たちによる「親子競技」なるものが途中であるのだけど、ここの場合は

「母親」「父親」「クラブ部員」「卒園児」と各々の競技が用意されている。前者二つはそれぞれ子供と一緒ではなく、大人のみでガチンコ勝負。

更に、「祖父母」「来賓」の合同競技があって、高齢者の方々がお手玉のようなボールをラケットのようなものに乗せて走る競技だった。

 

その様子を見ていた長女がとても的を得たコメントをしていた。

 

「誰もこけないといいね」

 

 その通りだ。

 

 

午後に入り、お弁当も食べてお腹いっぱいになったところで眠気が襲ってきた。朝早くから弁当作って疲れが出てきたらしい。

うとうとしながら競技を眺める。

そんな中、「職員・役員・お手伝いの保護者」対抗、大玉運びが始まった。

徐々に白熱していく大人たち。これが幼稚園の運動会だということを忘れさせるほどの熱戦が繰り広げられ、結果、「お手伝い」チームが一位をとった。

 

すっかり目が覚めたところで、最終競技はクラス対抗リレーだ。

 

このリレーが素晴らしく感動的だった。

中高生やオリンピックだったら、「ここまでリードされたら厳しいな」と思うような差でも、幼稚園児の場合はそれは最後まで誰にもわからない。

特にここの園は、選抜選手でなく全員参加のリレーだからなおさらだ。

周りの歓声に気をとられてきょろきょろしながら走る男の子、あっという間に後ろの子に追いつかれて抜かされても前を見ながら一生懸命走り続ける子、抜かれそうな状況にもかかわらず、観客席に向かってニコニコ手を振りながら走る子、緊張した表情のまま走りきった我が子、一走一走に垣間見えるドラマがあった。

 

なんだか見ていると目頭が熱くなる、涙が出てくる、喉が詰まってうまく応援できない。

 

久しぶりに、純粋に、感動した。

 

子供って、すごいなぁ〜って。

いろんな子供がいるってことの豊かさ。

 

かけっこは苦手だけどダンスは上手とか、綱引きなら自信があるとか、組体操カッコよく決めるとか、運動は苦手だけど応援は一番声が大きいとか、お話するのは苦手だけど競技を通じてみんなと気持ちを一つにできた子とか、とにかく色んな子供たちがいる。

 

それが面白い。

 

リレーは走る順番もタイム順とかではなくクラスの先生方の「戦術」に任されていたようで、すっごく早い子と遅い子が一緒に走ったりってこともあったんだけど、そこで大きな差がついたとしても、その後に普通に逆転劇が起きるわけで、結果、最後の最後は大接戦になった。

 

一人ひとりの能力はデコボコで、でも、全体で見たら不思議なくらい調和がとれていたという不思議。

 

子供たちと先生方に感謝。

いい1日でした。

 

運動会終了後、家に帰った子供たちが「うんどうかいの歌」を歌っていた。

ゆびおり かぞえて まっていた

うれし うれしい うんどうかい

そらは あおぞら にほんばれ

・・・

 ここで長女が替え歌を作った

 

うれし うれしい うんどうかい

そらは グレーぞら ・・・

 

これを聞いて、 「違うよ!あおぞらだよ!」と怒る次女。

 

「だって本当の事だもん」と長女。

 

そう、確かに今日は曇り空だった。

今にも泣き出しそうな、どんよりした雲が広がる灰色の空。

 

「グレー空」の長女は正しい。

 

正しいけれど、そんなことは問題じゃないんだよ。

 

「グレー空」の下、元気いっぱい歌い、踊り、走った子供たちに、今はただ拍手を送りたい。