ほろほろ日記

こぼれ落ちる思い出を繋ぎ止めるメモ

親切のリレー

先日、日本から香港に戻る飛行機でのこと。

 

到着機の遅れで予定よりも1時間の遅れ。

乗ってからは、乗客の手荷物が荷物棚におさまらないとかで、客室乗務員もスーツケースを抱えた乗客も困ってる。

 

私と子供たちは席が離れていたので、私は一人で座ってた。

隣の席の女性は柔和な表情の、やさしそうな人で、彼女も一人。日本語が少し話せそうだったので、「荷物のスペースが足りない系ですかねぇ・・・」なんて、困っている乗務員さんを眺めながら話しかけてみた。

すると、お姉さん、明らかに戸惑っている。

 

あ、もしかして日本の人じゃなかった・・💦

 

Do you speak English?

 

あわてて聞いてみると、やはり、香港の人だった。

最初に乗り込むときに少し日本語を話せたようだったので、てっきり思い込んでしまったことを詫びた。

でも、学生のときに日本語を学んで大分でホームステイをしたことがあるとのことで、日本語と英語とで話しかけてくれた。

 

彼女は福岡での芸術祭に音楽のパフォーマーとして参加した帰りとのこと。

糸島の会場までの道中、途中でタクシーに乗る必要があったけれど、どうやってよんだからいいかわからなくて本当に困っていたところ、通りすがりの女性が手伝ってくれたことがとてもありがたかったと言ってた。

けっきょくその女性は4社にかけて、最終的に一台のタクシーが見つかったと。

 

時間も迫っていたので、本当に本当に助かったから、「ありがとうございました」だけじゃなくて、なにか感謝の気持ちとして言葉をもっと付け足したかったとのこと。それで、「手伝って(くれて)ありがとうございました」と言おうとしたら「手伝ってお願いします」になってしまったと。

 

でも、それ、絶対通じてると思う。その気持ち。

 

言葉そのもの以上に、その人の出す雰囲気、表情、全身で伝えようとしていること、特に感謝の場合は、きっと伝わってると思う。

 

「絶対伝わってるよ」

 

私も今香港に住んでいることを伝えると、何か困ったことはないかと聞かれた。

 

「もし、何か困ったら、いつでも連絡してください」と言って、名刺をくれた。

 

あぁ、彼女は、自分が日本で受けた親切を、見ず知らずの日本人の私に返してくれようとしてるんだな、って思った。この場合は恩を返す、っていうよりは、

 

Pay it forward. 

恩を送る

 

まさに、こういうことなんだろうなって。

その気持ちだけで私も温かい気持ちになった。

 

世の中って、こういう小さい親切こそが他人に対する信頼を育て、より多くの人にとって生きやすい世界にしてくれるのかもしれない。

 

私もその一部でありたいと思う。