ひどい結果だ。
悪夢としか考えられない。
FBのタイムラインはアメリカ人の友人たちの驚きと嘆きと悲しみで埋め尽くされている。
トランプウォッチャーとしてここ数ヶ月、トランプがらみのニュースはいろいろと目を通してきた。どこかで彼の暴君ぶりを面白がっていたところもあった。
こんな結果になろうとは夢にも思ってなかった今日の朝は、娘の学校公開日ということで授業を見に行ってきた。
3年生の理科の授業。若い男の先生が軽快な口調で授業を始めようとしていた。そして突然、一人の生徒の方を向いて
「Aくん、今日は一時間、後ろを向いてはいけません。後ろ向いたら、ここに特等席、作るからね!(教卓の真横)」
聞いてみれば、転入してきたばかりの子らしい。
でも、私は先生たちの授業を眺めてて、子供たちはよく我慢して座って聞いてると思うんだ、あんなつまらん授業を(もちろんとっても面白く知的好奇心を掻き立てる授業をなさる先生もいる。でも滅多にいない)。
あと、マスクしたまま授業する先生を見る違和感。娘の音楽の先生なんて、マスク顎まで下ろした状態で歌ってピアノ弾いてた。顎、怪我でもしてんのかなと思ったよ。大学生の部屋着みたいな超ラフな格好で教壇に立つ先生、ポケットに片手突っ込んだまま授業する先生、講演中にずっと居眠りしてる先生、子供たちに姿勢をピッとしろだとかうるさいとかちゃんと人の話を聞けとか服装のこととかいう前に我が身を振り返って欲しい。
それで、本題。
授業の中盤、そのA君が元気よく手をあげて発言した。その際に、体が横を向いていた。すると、複数の子供たちから、「あ!後ろ向いた!」の声。
「今、後ろ向いた!」
「後ろ向いた!」
「特等席!」
この光景を見てて、トランプがこの選挙戦の間に繰り広げたヘイトスピーチやマイノリティの人々を侮辱、差別するような言葉を日常的にメディアで耳にしている子供たちへの影響を懸念した記事を思い出した。学校の子供たちの間でいじめが増えているという教師たちからの報告だ。
クラスメートにテロリストやIsisなどと呼ばれるイスラム教の子供たち、国外退去を強いられるのではないかと心配して出生証明書とソーシャルセキュリティーカードを教師に見せに来たというラティーノの女の子、レイピスト、ドラッグディーラーなどと呼ばれ、「まだ壁はできてないの?」などと言ってからかわれるメキシコからの移民の子供。
教室でのお山の大将は多くの場合、教師だ。影響力のある人間が、ある人に対して特定の見方をする。今日の先生の場合、「A君は後ろ向いたらダメ」という言葉は、それを聞いているほかの子供たちのA君に対する見方に確実に影響する。おそらく日常的にAくんはこういう注意を教師から受けていると予想される。
みんなの前で、ましてや保護者が見ている前でわざわざ「Aくんは後ろ向いたらダメ」なんて言うんじゃなくて、それは個別に授業の前に「今日はまず10分、前向いてられるように頑張ってみようか」」と声をかけてあげるほうがよっぽど効果がある。それで、まず10分、A君が前を向いていられたら、「A君、しっかり前向いてるね!」って、みんなの前で褒めてあげてほしかった。A君へのポジティブな声かけや対応は、その周りの子供たちへのA君への見方につながる。
日本の、こんな小さな教室でも、教師一人の声かけ一つで子供たちには多大な影響力を持つ。
それが、大国アメリカの大統領だ。
新大統領の言動、行動は、毎日メディアで取り上げられることになる。
その度に、不安や恐怖に苛まれる子供たちが出てくるだろう。
長期的な影響は計り知れない。
でも、今は、子供たちにとって大統領よりも身近で、信頼できる大人である親や教師たちの存在の力を信じたい。
自分が価値ある存在、大切な存在だと認めてくれる人たちに囲まれて育った子供は、きっと他の人も大事にできるようになる。たとえ大統領がどんな人であっても。
娘たちが、最近学校で覚えてきた言葉あそびのフレーズが妙に頭に残る。
「最初はグー、またまたグー、いかりや長介あたまがパー、正義が勝つとは限らない。最後はアイーンでじゃんけんぽん!」
私が子供の時にもほぼ同じようなものが流行ったことあったけど、アイーンの下りはなかったし、それに、正義は勝ってた気がする。
嘆いていても仕方ない。そうだよ、正義が勝つとは限らないんだってことがよくわかった。
でも、それでもアメリカが、アメリカを取り戻す日が1日でも早く訪れることを願わずにはいられない。
あぁ、なんだか支離滅裂な文章。
頭が混乱し続けている。
うまく眠れそうにない。