ほろほろ日記

こぼれ落ちる思い出を繋ぎ止めるメモ

大正時代の身の上相談がシュールな件

嫌なことがあった日や、もしかして自分ってちょっとおかしい?なんて思いが胸をよぎってモヤモヤしてしまうときには、ほかの人の悩み事をのぞいてみるのも一ついい方法かもしれない。

 

特に、今とは異なる時代背景や文化の人々が考える「悩み」からは、時代や文化を超えて私たちが「悩み続ける」ことの普遍性をも教えてもらえる。

 

自分一人の悩みは自分だけのものではない。

人類全体の「苦労」なんだと。

 

少し前に読んだ本、

『大正時代の身の上相談』

なるものがとても面白かった。

 

まず、その身の上相談のお題からしてすでに心惹かれるものが多い。

 

1.「毎日ひまですることがない〜仕事デモシヨウカト悩む主婦」

 

2.「理髪店で二度も耳を切られた〜一人前ニナルマデ三人ハ切ルト嘘ブク職人」

これに対するお答えがまた秀逸だった。

▶︎そう大した傷でないのなら、おあきらめなさい

 

3.「娘の求婚者が醜いので断りたい〜孫ガ容貌ヲ受ケ継イダラ困ルトイウ父母」

 

4.「ミカンを二十個一度に食べる夫〜一月二ヒトリデ五箱モ・・・」

 

などなどまだまだたくさんある。

 

そして、これらの本人にとってはいたって深刻な悩みの後に、昔ながらのレトロなイラスト付きでよくわからない商品の宣伝広告が載っているのが悩ましい。

 

少年(に見えるけど青年か)が泡の吹き出た飲み物を片手に遠い目をしているイラスト。サッポロビールの名があるけれど商品名はなぜか「清涼飲料リボンシトロン」。どんな飲み物だろう。

 

深刻な悩みの直後に「味付け海苔」の文字。

 

そして特に強烈なのは例えばこんなの。↓

その名も「無益な夫婦喧嘩」。無益な割におっさんが腕まくりして今にも殴りかかっていきそうな挑発的笑顔が非常に怖い。

それになんだよ催眠鎮静剤って。

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もう、お悩みそっちのけで広告に釘付けになる。

 

そうなんだよ、

赤の他人からしたら私たちの悩みっていうのは、案外こういうレベルなのかもしれない。

 

そう、悩んでいい。

思い切り悩もうではないですか。

 

愛憎劇、しょうもない悩みがあってこその人生の豊かさだ。

 

渡る世間は鬼ばかり」から鬼が消えたら誰も見ないだろう。

そんなもんなんだよ、って

自分に言い聞かす、今日。