ほろほろ日記

こぼれ落ちる思い出を繋ぎ止めるメモ

ちょっとしたミラクル

場面緘黙との付き合いがかれこれ6年目(これと気が付いてからは3年目くらい)に突入した次女が、先日こんなことを教えてくれた。

「ママ、〇〇ちゃんね(自分)、あと、いただきますとかごちそうさまでしたとかだけ言えるようになったら、みんなの前でも全部話せるようになった。日直、できた。」

 

!!!!!!

 

回ってくる日直当番を嫌がっていた次女が、なんと、その日は司会の言葉が話せたという。

「どうして言えたんだろうね」

と聞いてみたら

「パパイヤ、シッ!って言ったら、どっかいったの」

 

パパイヤというのは、「ドキドキ」の元になるもの、「不安や緊張」の気持ちに次女がつけた名前。認知行動療法で言う所の外在化。最初は子供用の認知行動療法の本の中で出てきた「心配モンスター」という言葉を使っていたのだけど、当時少しだけ通ったプレイセラピーの心理士さんから「何か自分の好きなものの名前に変えてみたら」との助言を受けて変えたもの。フルーツグラノーラに入っているドライフルーツのパパイヤが大好きだったので、そのまま取ってきて次女の不安は「パパイヤ」という名前になった。

でも、これ、「心配モンスター」より長い期間付き合っていく存在としては何か自分に取って親しみのある名前の方が確かによかった。

そして、何よりすごいなと思ったことは、今までは不安が押し寄せてくるときっとそこに囚われてしまって、「心配モンスター」にしろ「パパイヤ」にしろ、そこにそれが来てるってことにも意識が向けられなかったんだけど、今回はそれが意識的にできたってことなのかもしれない。

「問題」と「じぶん」を切り離すこと。

それは「パパイヤ」を自分でコントロール可能なものに変えることができたということ。

大人だって難しい。

でも、この後に次女の言葉がこう続いた。

 

「でもね、たぶん〜、みんなに『早くして!』って言われたから、喋れた」

 

あ!そうなんだ。

 

おそらく、日直当番の次女が前に出て、しばらく黙ってたら早く帰りたい子供たちからブーイングが出たのだろう。

いつもは相方の日直さんが代わりに言ってくれてたみたいなんだけど、この日は違ったのか。それで、本人、おそらく清水の舞台から飛び降りるくらいの「えい!」って気持ちで話したんだろうなぁ・・・。

でも、ここでもし相手の日直さんがすぐに次女の分も言ってくれてたらこれはできていなかった訳で、「しばらく待つ」(相方の日直さんは特に何も考えてなかったかもしれないけど)ことが時として起こすミラクルはすごい。

 

今回成功したからと言って今後また同じ場面でできるわけではないかもしれないけど、すごくすごく大きな一歩なわけで。

 

忙しさに追われて目まぐるしく過ぎてってしまう日々の中でも、一つ一つクリアしてく、小さな階段を一つずつ登っていくこと(時々後退もあり)、大事なこと教えてもらいました。